2012年8月2日 : Comments (0)
井上靖の、中国大陸の歴史小説、
所謂、西域物は好きな小説群です。
中でも 敦煌(とんこう) は学生時代に面白かった印象があり
再度また読んでみた。
やはり面白く読めた。
ストーリーはほぼ忘れてた。
広い大地で繰り広げられた、宋の時代の
民族の戦い。
その中で大陸の西の辺境での出来事。

翻って、今オリンピックの最もメダル数が多いのも中国。
日本の各地の観光地に、我が物顔でうるさく見かけるのも中国の観光客。
東南アジアの南沙諸島、西沙諸島で強引に所有を主張し周辺国ともめる。
日本の尖閣諸島も、周辺海底に石油などの地下資源の可能性が出てきた頃から
平然と所有を主張する。
中華意識は健在だ。
中国大陸の長い歴史を振り返ると
民族間のすさまじい戦いの繰り返しである。
一族毎の殺戮で容赦はない。
徹底的にたたきつぶす歴史。
そうしないと滅ぼされる。
日本は島国でよかった。
なんとなく、中国は怖い…。
強い人、強い国には逆らわないが
相手が弱いと見るや、徹底的に強硬に出てくる。
経済的にも、政治的にも、軍事的にもどんどん強くなる中国。
そんな中国が隣国にある。
面白く中国大陸の歴史上の小説を読んだが、
ふと、そんなことを考えた。 -h-

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2010年7月11日 : Comments (0)
新田次郎の長編小説“孤高の人”を感動を持って読み終えた。
何か深く共鳴する物を感じ、考えさせられた。

上巻は無口で対人関係の苦手な主人公、加藤の山での超人的な単独行を淡々と、
登山等に興味ない読者には退屈にも思えそうだが、
下巻にはいり、いろいろな人間模様も入り面白く感動的である。
最近読んだ小説の中では、私にとって最も面白く感慨深く読めた気がする。
大分前読んだときには、ほぼ印象に残らないくらい、
ひょっとしてその時は、少し退屈な小説だったのかもしれない。
山しかなかった加藤から、結婚して別な新たな喜びにも
目覚めた加藤の変容ぶりが心打つ。
そして希望に満ちた新たな人生がスタートしてわずか一年後、
最愛なる二十歳過ぎの奥さんと、生まれて間もない赤ん坊を残し
これで最後と思った冬山、槍の北鎌尾根で
生きたい死ねないと思いながら……
いろんな生き方を少し立ち止まって、考えさせる
心に強く残る小説でした。 -h-

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2010年7月7日 : Comments (0)
今日、霧島連山最高峰の韓国岳(1700m)に登ってきました。

4ヶ月ぶりの韓国岳でした。
韓国岳は5合目までがきつく、5合目を超えたら割と楽です。
この大雨で韓国岳の火口底は、写真のように池になってました。

一昨夜、後輩の不動産業者A社のS君と飲みに出て、つい飲み過ぎたが、
大汗かいて、これで何とかアルコール分と老廃物が完全に抜けた…かな…?
飲みに出ることは少なくなっていたが、
先週、先々週と珍しく飲み会が続いたので
これでさっぱりと気分も体も新陳代謝が出来ました。
毎日寝る前に小説を少しずつ読みますが、
今、新田次郎の“孤高の人”を読んでます。
日本の山岳小説の最も代表作だと思います。
2回目なのだがあまり記憶がなく、初めて読むような新鮮さです。
なぜ山に登るかという問いに、理屈はいらない、山が好きだから…
山に行っている間はご機嫌なんだ…と -h-

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2010年5月31日 : Comments (0)
司馬遼太郎の項羽と劉邦をちょっとずつ
読み進めていたが先日読み終えた。
2回目であった。
強大な秦帝国の滅亡時、二人の英雄が草間から登場、
新たな統一国家を目指し争った壮大な戦いの物語です。
結果は戦いでは負け続けていた漢の劉邦が、
最後に軍事で圧倒的に強い楚の項羽を打ち破り
中国歴史に漢帝国が出現することになります。

途中から私の関心事が、この強すぎる英雄、項羽はこの時
一体何歳くらいなのだろうという仕様もないことが
気になりながら読み進んだ。
なんとその仕様もない疑問が、この長い3巻の小説の一番最後の行に
答えがでていた。
何年も百戦錬磨で大陸を駆け回ったすえ、命を落とした
その時、まだなんと31歳であった! ちょっと感慨深い。
今、同じ司馬遼太郎の日本の天下分け目“関ヶ原”を再度
ゆっくりと読んでいます。 -h-

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2010年4月25日 : Comments (0)
1週間くらい、喉に菌が入り仕事どころか何も出来ずもがき苦しんでました。
CRPという数値がとんでもない数値まで上がり
飲めず、食べられず、しゃべれず、眠れず、痛く
抗生物質と点滴の毎日で床にふせてました。
病魔は突然やってきて、散々苦しんだけど病院のおかげで
1週間弱で見事復帰できました。

ただその中で得るものもありました。
私が不在でも二人のスタッフのおかげで、
会社は難なく通常通り回って安心しました。
感謝、感心でした。
それから横になりながらも、久々に本を読めました。
何十年ぶりに井上靖の”天平の甍”を面白く懐かしく読みました。
今年は平城遷都1300年で、催し等色々やってますが、
その奈良時代の遣唐使と、鑑真和上の日本渡航の話です。
大変な歴史的事実を、淡々と且つ興味深く描いた小説です。
今、また司馬遼太郎の“項羽と劉邦”を読み返してます。
歴史物、大陸物の小説は面白く一時はまりましたが、今でも好きです。
-h-

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2010年3月10日 : Comments (0)
ななんと、鹿児島でもいきなり春の雪です。
しかも吹雪いたりもしてます。
“春の雪”で何を思い出したかというと、三島由紀夫の小説“春の雪”
なんです。
ということでたまには趣向を変えて文学の話でもしましょう。

社会人になってからほとんど小説等を読むことがなくなったが、
学生時代のある時期、めちゃくちゃ小説を濫読したことがありました。
日本文学、世界の有名な文学、漁りました。
私なりの到達点として、人間がなしうる文学的試みの最高峰は、
ロシア文学ドストエフスキーの“カラマゾフの兄弟”、“罪と罰”等であった。
国境を越え、歴史を超える普遍性のある最高級の文学の芸術品…。
日本文学も読み漁りました。夏目漱石、石川達三、三島由紀夫、大江健三郎、井上靖、太宰治、等々…
中でも三島由紀夫は日本文学での私の到達点でした。何十冊も読みました。
45歳の若さで、彼の美学の完成として命を絶ったが、
その後も彼の文学は魅了し、ひときわ輝いている。
“春の雪”は彼の最後の作品“豊饒の海”全4巻の第一巻の小説です。
“豊饒の海”は輪廻転生がバックボーンにあるスケールの大きな小説です。
その第一巻“春の雪”は大正時代のロマンあふれる、美しい気品のある恋愛小説です。
昭和初期の激動の第二巻“奔馬”へと続く、嵐の前の静けさといったところです。
この一巻二巻だけでも三島文学を十分味わえると思います。
是非お奨めです。-h-
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